コラム/インタビュー

2019/09/28

文系大学院生って本当に就活に不利なの?!

「初職の獲得における優位性は、理系大学院>理系大学・文系大学>文系大学院という順番になる。(中略)本研究の主要な結果は、(文系大学位と比較した場合)理系大学院に就職プレミアムがあり、文系大学院のそれは負であるという、ある意味ショッキングなものである。」

(日本労務学会誌 2015年16号「大学院卒の就職プレミアム 初職獲得における大学院学歴の効果」)

引用が示すように、文系大学院生の就活の厳しさは度々伝えられてきました。しかし、就職活動において文系大学院生という肩書きは本当に邪魔なのでしょうか?

 

どうして不利と言われるのか

そもそもどうして文系大学院生は就活に不利だと言われるようになったのでしょうか。

専門性を直接的に活かせない

文系の中でも、法律や経済分析などは、企業での業務で直接的に使えることがあり、重宝されます。このように「使える知識」を持つ院生は、学部卒よりも実務的な知識があるので、企業は率先して採用する可能性があります。
しかしながら、哲学や社会学の知識が企業の実務で直接的に活かされることは限りなくゼロに近いです。「2年間の研究に何の意味があるの?」と首を傾げられてもおかしくはありません。

ポテンシャル採用

日系企業は、即戦力よりも「今後企業にどれだけ貢献してくれる可能性を持っているか?」という理念を基準に新卒採用をするケースが多いです。これをポテンシャル採用と呼びます。そのため、若いうちから入社をし、手厚い研修を受けて、少しでも多くの実務を積むことが求められています。つまり、企業に貢献をしない研究を2年した人より、これから企業に2年多く貢献してくれる学部卒の方が優先されてしまいます。

日系企業における最終学歴と昇進の相関性が低いことがあげられます。日系企業の役員の最終学歴は、大卒が61.4%であるのに対して、院卒はわずか5.9%しかいません。しかし、アメリカでは、学部卒よりも院卒の方が部長職つく割合が高いことがわかります。
我が国の大学・大学院の現状より

つまり、現在の日本のビジネスシーンで役員レベルで活躍する人たちは基本的に学部卒であり、院卒が昇進には関係ないことがわかります。

文系大学院生というマイノリティと偏見

そもそも、文系大学院に進学する人は稀有の存在です。平成30年での学部生の数は約260万人に対して、修士課程に在籍する院生は約25万人しかいません。その中でも、人文、社会科学系を先行する院生は、約16%の4万人とさらに少なくなります。
学校基本調査
つまり、人事は文系大学院生の実態をあまり知らないのではないかと考えられます。知らないからこそ、偏見を持たれてしまうことがあります。例えば、大学院生は親のすねをかじっているだけだとか、頭が硬い、対人コミュニケーションが苦手で協調性がない、意味のない研究をしているだとか、大学院生は散々言われてきました。マイノリティは、一部の人の生で間違ったイメージを持たれやすいものです。

このように文系大学院生という肩書きがある種不利に働くケースが考えられます。しかし、本当に大学院生は社会で活かせるスキルを持っていないのでしょうか。

文系大学院生の強み

上のように不利だと言われていても、文系大学院生にも優れているところがあります。一つの研究を完成させるには、様々な能力が必要だからです。

論理的思考力

院生にもっとも必要な能力は考える力です。ある事象を見つめ、批判的に様々な意見を読み、そして自分の意見を持つことの繰り返しです。
よく文系大学院生は孤独などと言われがちですが、教授や他の学生たちとディスカッションをすることもしばしばあります。意見を交換する段階で批判されることに慣れていることも大切な経験です。それでも自分の意見を貫いたり、時には淘汰されて意見を洗練していくことを日常的に繰り返す中で論理的思考力がついていきます。

情報収集能力

大学院生は、まだ明らかにされていないことを見つけるために、様々な文献や資料を読み漁ることが必要です。そのため、文章読解力が身についていると言え、信頼できる情報源から正しい情報を取得できる能力があると言えます。

表現力

自分の研究の成果を論文や学会発表で他の人に伝える機会がしばしばあります。そこで書き言葉、話し言葉両方の表現力が身につきます。社会に出る前から、資料を作成し、プレゼンテーションを行うスキルを養うことができ、学部卒と差をつけられます。

他にもたくさん

研究や大学院生活を通してたくさんの素養を身につけられることを一般的に知られていません。研究参加者を探し出すには、人脈やコミュニケーション能力が必要ですし、壁にぶち当たっても修士論文を完成させる粘り強さが必要です。意外にも大学院生には行動力が備わっていると言えます。

このように大学院では様々な能力を培うことができます。ぜひESや面接でアピールしてみてください。

文系大学院生は就職に不利なんかじゃない!

結論、文系大学院生という立場が内定取得を難しくさせる、なんてことはありません。学部卒の新卒よりも長い時間、学問を通して自分を見つめられます。長所や短所が見つけられるだけでなく、自己アピールのエピソードも増えるので、むしろいいように転がるのではないかとも考えられます。自分のステータスに囚われずに、好きなことに没頭し、経験をたくさん積んでみてはいかがでしょうか。

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